2019年学術大会報告

令和元年、歯周内科の進む道

国際歯周内科学研究会 代表理事 津 島  克 正

代表理事 津 島  克 正

4月21 日、東京両国のKFC ホールにおいて平成最後の学術大会が開催され、大盛況のうちに無事終了することができました。ご参加いただいた会員の先生方にあつく御礼申し上げます。また、本大会の成功は河内大会長の綿密なご準備、理事・評議員の先生方のご活躍によるもので、改めて感謝申し上げます。

今回も素晴らしい内容で、参加できなかった先生方におかれましては、4~5頁の学術大会報告をぜひご覧になっていただきたいと思います。

いよいよ新元号「令和」を迎えることとなりました。新しい時代の幕開けです。

歯周内科治療が世に出てから約20年。私たちも大きな時代の変化を迎えようとしています。

歯周内科治療は、位相差顕微鏡での菌叢の劇的な改善とともに、歯周病が簡単に治るということでとても注目され、開業医の間でどんどん広がっていきました。

現在は、検査においては位相差顕微鏡の検査に加えリアルタイムPCR検査が標準となり、より科学的となりました。治療ではジスロマック+ ファンギゾン(ハリゾン)に加えリアルタイムPCR 検査の結果をもとに他種の抗菌剤の追加投与も検討するようになりました。

そして、口腔内菌叢を改善することの目的も、歯周病の治療を目的としたものから、全身疾患や歯原性菌血症を考え、より重要度の高いものへと変化しています。

歯周病と全身疾患が大きく関わりがあるということが言われてから、これまた約20 年が経ちますが、当初言われていた疾患だけではなく現在はガンや認知症にまで関わっていることがはっきりと示されてきました。

さらにこれからは、超高齢社会の問題として大きく注目される摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎の問題にも大きくかかわります。口腔ケアの重要性はすでに認められていますが、真の目的は口腔内細菌叢の改善にあることが認知されるようになり、医科歯科連携のかなめとして、リアルタイムPCR検査や歯周内科治療がより大きく注目されることになるでしょう。

そうしたことを踏まえ、研究会では臨床効果の蓄積に加え、エビデンス構築のために学術に、より力を入れていく方針をとってまいります。

この治療法が、より多くの人たちの健康に寄与することを願ってやみません。

 

2019 年 東京学術大会

第17回東京学術大会 大会長 河 内  洋 順

大会長 河 内  洋 順

この度は第17 回国際歯周内科学研究会東京学術大会に、沢山のご参加をいただき誠にありがとうございました。

平成から令和に年号が変わる前の最後の学術大会は、東京、両国のKFC センターにて開催いたしました。

今回は「これからの歯科、歯周内科の方向性を探る」というテーマで準備をしてきました。

190 名を超える参加人数に会場は活気にあふれました。

前日セミナーは、河内洋順先生から「歯周内科型予防歯科医院を作って成功しよう」というタイトルで講演して頂きました。

塚本高久先生から「歯周内科型医院を後世に伝えるために準備したいこと」というタイトルでご講演をいただきました。

前日懇親会は、同会場2階にて行われました。講師の先生方を交えて盛り上がりを見せました。今回は初の試みである生田先生のマル秘のミニ講演会もありました。

会員同士で、講演内容や日頃抱える悩みなど様々な話に花が咲き、楽しく実りある時間を過ごせました。楽しい時間はあっという間に過ぎていきますね。

来賓でお越しの元厚生大臣 藤本孝雄先生にご挨拶をいただきました。

元厚生大臣 藤本孝雄先生

午前に行われた招待講演は「感染症としての歯周病は如何に全身疾患に関与しているか~脳梗塞などの循環器系疾患・呼吸器系疾患・糖尿病などの内科的慢性疾患を歯周病を治療することで改善する~」と題し医療法人社団 誠敬会 会長 吉野敏明先生にご講演いただきました。

歯周病治療の最前線を牽引されてきた吉野先生の症例を交えたお話は会場の誰もがくぎ付けになりました。

特に初めて聞いた先生にとっては、メタトロン治療、針の治療など驚くような内容だったのではないでしょうか。時間があっという間に過ぎるお話でした。

午後の最初に行われた理事講演は「これからの歯科・歯周内科の方向性を探る」と題し一般社団法人国際歯周内科学研究会の常務理事の生田図南先生にご講演いただきました。

常務理事の生田図南先生

昨年生田先生のセミナーは20周年を迎え、新たに日本摂食支援協会を立ち上げるなど精力的に活動されています。当会のカリスマである生田先生の講演は、これからの歯科の進むべき方向がみえた90分でした。

聞き終わった後、会場内が医療人としての使命感に満ちたような雰囲気になったのが、とても印象的でした。

そして最後の学術講演は「地域包括ケア・食べる事のできる口作りのために~口腔カンジダと口腔疾患・歯周病のかかわり~」と題し、鹿児島大学学術研究員・医歯学研究域・歯学系・准教授

国際歯周内科学研究会・学術顧問 上川善昭先生のご講演が行われました。

熊本弁で、私たちに語り掛ける上川先生に癒されました。

上川先生の今後の研究がますます楽しみになりました。

ポスターセッションは8医院の発表が行われました。

最優秀賞 若林歯科  優秀賞 おおさわ歯科クリニック 3位 生田歯科医院

ポスターセッション 

入賞特典として無料セミナー受講券が送られることになりました。来年度以後も続きますので、ふるってご参加ください。

これからも学術大会が益々発展し続けることを祈念して講評といたします。

皆様ありがとうございました。