住宅会社からの送付物について

 

国際歯周内科学研究会 代表理事 津島 克正 

 

残暑厳しき折、会員の皆様方におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、この度、国際歯周内科学研究会会員に対して住宅関連のNPO法人から刊行物が送付されるという事案が発生しました。

会員の皆様方におかれましては知らない団体から歯周内科に関係のないものが突然送られてきて戸惑われたのではないかと思います。

これに関連して会員の先生からお問い合わせをいただきましたので、国際歯周内科学研究会としての見解を本状にてお伝えします。

 

<お問い合わせ内容> 

 

  1. 国際歯周内科学研究会は会員名簿を外部業者に引き渡しているのではないか?
  2. アンケートをとって歯周内科に関する情報のみを受け取りたい人と、歯周内科以外の情報も受け取りたいという人に分けてはどうか?

 

<当会の見解> 

 

まずはじめに、会員のみなさまにこのようなご心配をおかけしたことにつきまして研究会を代表し心よりお詫び申し上げます。お問い合わせ内容に対する個別の回答は下記の通りです。

 

  1. 会員名簿を外部業者に引き渡しているという件に関しましては、そのようなことは決してございません。今回は研究会webサイトに掲載されている住所に対して発送されました。
  2. 検討の結果、会員を区分けし、送付物を各自の希望に合わせて送付物を準備する事は、現在の事務局のキャパシティーでは対応が難しいと判断いたしました。これに代わる対応策については後述いたします。

 

当研究会の会員の大多数は開業医です。会員向けの情報発信につきましては、その内容を歯周内科に限らず、臨床上・経営上役に立つものを幅広くお届けするようにしてまいりました。また、情報の質を担保すべく外部の情報を会員に紹介する際は、下記のような内規を平成24年に設けております。

 

  • 複数の理事がその内容を深く理解していること。
  • 複数の理事が紹介に値するという推薦を行っていること。
  • 理事会で承認されたものであること。

 

今回は手違いにより内規に定めた手順を経ず発送許可がくだされてしまいました。このことは大変遺憾であり、今後二度とこのようなことが起らぬよう関係者には厳重に注意を与えました。

 

<今後の対応>

 

  1. webサイトの会員名簿に「当ページに記載されている情報を営業活動等に使用することを禁ずる」という注意書きを付記する。
    当会は、Webサイトに掲載されているからといってその情報を何にでも使用していいと考えておりません。 
  2. 会員への送付物は全て国際歯周内科学研究会もしくはMicroexam社が発送元となり、発送前に理事会にて内容を吟味する。

 

今後は内規の遵守を徹底します。ただし、内容については「会員利益につながる」という観点で選別を行うため、必ずしも歯周内科に関連したものとは限りません。 

 

可及的速やかに以上のような対応を行い、不都合があればさらに改善してゆく所存です。

会員の皆様におかれましては、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

読売新聞記事に対する公式見解

2014年5月18日の読売新聞朝刊1面および同5月24日読売新聞社説に掲載された、歯科における院内感染懸念の記事について

歯削る機器、滅菌せず再使用7割…院内感染懸念!

記事にあるような院内感染の可能性に関しては、当会では会設立当初からそのような危険性について会員に情報提供を行ってまいりました。

現在では、当会の「理念と使命」において「安心・安全な歯科医療のために院内感染防止対策の普及につとめる」ことを掲げております。

具体的には、公的に院内感染防止対策がなされていることを確認できる「歯科外来環境体制加算」の施設基準を取得することを推進しており、歯科医療情報推進機構 歯科安心安全対策協議会と連携をとりながら進めているところです。

会員は、今後も安心・安全な歯科治療の提供を継続し、さらには、そのことを患者さんにわかりやすく伝えるために「歯科外来環境体制加算」の届け出や歯科医療情報推進機構の認証を受けるようお願いいたします。

 

国際歯周内科学研究会 代表理事 津島克正

リアルタイムPCRの利用例

リアルタイムPCR会員の皆様へ

こんな症例に困っていませんか?

「位相差顕微鏡でらせん状菌はあまりいないのにPが悪い」

こんな時こそ「リアルタイムPCR法」です!

国際歯周内科学研究会では歯周内科治療でジスロマックを投薬するかどうか決定する際に、位相差顕微鏡検査による「らせん状菌」の検出を重要な指標としています。

しかし、「らせん状菌」が顕微鏡で見当たらないにもかかわらず、歯周病の各種症状がアクティブな症例に出くわすことがあります。ジスロマックを投薬するか否か、非常に迷う場面です。実はそのような症例では、らせん状菌以外の細菌が関与していると考えられます。

<顕微鏡による菌の判定の可否>

歯周病原性菌レッドコンプレックス3菌種
Treponema denticola(T.d) らせん状菌 可能
Prophyromonas gigivalis(P.g)  短桿菌 不可能
Tannerella forsythensis(T.f)  桿菌 不可能
その他
Actinobacilus actinomycetemcomitans(A.a) 短桿菌
(侵襲性歯周炎の主な原因と考えられている)
不可能
Fusobacterium nucleatum(F.n)  桿菌 不可能

このように、位相差顕微鏡で見ているのはあくまでも菌の形態であり、様々な種類の細菌を特定することは困難なのです。しかしリアルタイムPCR法で細菌のDNA検査を行えば、歯周病関連菌5菌種の存在を定量的に調べることができます。

顕微鏡診(-)臨床歯周病症状(+)の症例にリアルタイムPCR検査(5菌種)を行い

  • いずれかの細菌が検出されたら、ジスロマックを投与
  • いずれの細菌も検出されなければ、ジスロマックは投与せず、通常の初期治療を行う

という流れになります。

またメインテナンス時に顕微鏡診と臨床歯周病症状が食い違う場合にも有効です。
このようにリアルタイムPCR法を利用することで、先生方も患者さんも納得の上、安心して治療を行うことができます。この様な症例には、ぜひリアルタイムPCR法を行ってください。

国際歯周内科学研究会  顧問 生田図南